Gemini Omni の prompt — Google が文書化し、誰も引用しないタグの構文
今週公開された Omni の prompt に関する助言のほとんどは、でっち上げです。
半ダースほどのガイドが引用している「Google の公式ドキュメントにある 5 要素のフレームワーク」は、当社が見つけられたどの Google のページにも載っておらず、それを引用しているガイドどうしでも、要素が 5 つなのか 6 つなのかで一致していません。セリフを引用符で囲むとモデルがリップシンクのモードに切り替わる、という主張も、どの Google のドキュメントにもありません。Google の例で引用符が出てくるのは、画面上に描画されるテキストの場合だけです。
Google が実際にドキュメント化しているものは、もっと有用で、しかもほとんど誰も書き起こしていません。ひとつの prompt のなかで、特定の画像やクリップを名前で指し示せるタグの構文です。このガイドはそこから始めます。

これから読むものについての 2 つの注記
ここで引用しているものはすべて、Google 自身のページから取っています。Gemini Omni の API ドキュメントにある prompt ガイドの節と、Omni と Veo をまとめて扱う共通の prompt ガイドです。Google が何も言っていないところでは、権威ありげに聞こえる何かで穴を埋めるのではなく、言っていないと書きます。
以下のクリップは、Omni ではなく、当社自身の API 上の Veo 3.1 Fast で生成したものです。Gemini Omni 1.1 Flash はまだ E2X にはありませんし、あるモデルの映像でガイドを飾ったうえで、それが別のモデルから来たふりをするつもりもありません。これらが示している技法 — カメラの語彙、単一ショットの指示、音の演出 — は、Google が両方のモデル向けに公開している prompt ガイドから来ているので、そのまま移せます。次の節のタグの構文は移せません。あの部分は Omni 専用であり、出力としてではなく構文としてお見せします。
タグの構文
Omni は、特定の入力を指し示すインラインのタグを受け付けます。ドキュメントのなかで、第三者による解説が最も少なく、読むことで得られるものが最も大きい部分です。
フレームについては、次のとおりです。
<FIRST_FRAME> a woman is walking
<LAST_FRAME> は着地するフレームを示し、Google はそれを <FIRST_FRAME> と 「必ず併用しなければならない」 と明言しています。prompt が複雑になって位置が曖昧になる場合のために、明示的に宣言する形式があります。
[# Sources <FIRST_FRAME>@Image1 <LAST_FRAME>@Image2]
両方のタグを同じ画像に向ければ、ループになります。Google はこれを直接ドキュメント化しています。クリップは始まった場所へ戻ります。
[# Sources <FIRST_FRAME>@Image1 <LAST_FRAME>@Image1]
参照については、タグに番号が振られ、0 から始まります。
in the style of <IMAGE_REF_0> a woman <IMAGE_REF_1> is walking
この 1 行が、ひとつの画像からスタイルを、別の画像から被写体を引き出します。映像版は <VIDEO_REF_0> で、これも 0 始まり、そして厳しい上限があります。「映像の参照は最大 3 本のクリップ、それぞれ最大 3 秒まで対応します」 であり、参照クリップに含まれる音声は無視されます。
ここでの失敗のしかたは、モデルが参照を文字どおりの冒頭フレームとして扱ってしまうことです。Google の対処は、prompt の末尾に付け足す指示です。
Use the given image(s) as references for video generation.
The images should not be used as literal initial frames.
そのうえで設計に入る前に、知っておく価値のある境界がひとつあります。「複数の映像をまたいで参照したり推論したりすることには対応していません」。複数の画像参照は問題なく — Google 自身の例では 6 枚を使っています — しかし複数の映像をまたぐ prompt は劣化します。
止めない限り、Omni はクリップを複数のショットに切り分ける
これはドキュメントのなかで最も意外な一文であり、混乱した出力の多くを説明してくれます。
「既定では、Omni Flash はいくつかの異なるショットからなる映像を作ろうとします。prompt をもとに、興味を引く物語を組み立てようとします。出力される映像に単一のシーンだけを含めたい場合は、そのように prompt で指示しなければなりません」
人が戸口を通り抜ける 8 秒を頼めば、それが 3 つのカットになって返ってくることがあります。モデルがあなたを読み違えているのではありません。既定の動作をしているだけです。
対処は 1 つの節で、Google は 3 通りの言い方を示しています。「In a single unbroken scene」、「In a single continuous shot」、あるいは 「No scene cuts」 です。
その指示が仕事をしている例です。ドキュメント化されたカメラの動きと、音の一文を添えてあります。
In a single continuous shot, no scene cuts. Slow dolly in on a battered
enamel coffee pot sitting on a cast-iron stove in a dim cabin kitchen.
Steam rises and catches a hard shaft of morning light from a window to the
left. Medium shot, shallow depth of field, warm amber and deep green
palette. Sound design: the low hiss of steam and a wood fire ticking.
No dialogue.
4 秒、720p、1 秒あたり 1 セントの Veo 3.1 Fast で生成しました。この prompt のうち形容詞がいかに少なく、モデルが実行に移せる指示がいかに多いかに注目してください。
音は、それ専用の文で演出する
音声は絵と一緒に生成され、Google の指針はそれを別立てで記述することです。「音声を記述するには、prompt のなかで別々の文を使うことをおすすめします」。ドキュメントはこれを 3 つに分けています。効果音、環境音、そしてセリフで、それぞれに別の例が付いています。
俗説が間違っているのはセリフです。ドキュメント化されている約束事は、コロンを使い、引用符を使わないことです。
the man in the red hat says: Where is the rabbit?
Google のより長い例は、ひとつの prompt のなかで 2 人の話者を走らせ、環境音で締めくくっています。
A medium shot in a dimly lit interrogation room. The seasoned detective
says: Your story has holes. The nervous informant, sweating under a single
bare bulb, replies: I'm telling you everything I know. The only other
sounds are the slow, rhythmic ticking of a wall clock and the faint sound
of rain against the window
Omni 自身の例は、発話以外の音声に Sound design: を前置しています。「Sound design: Gentle breeze, distant bird chirps. No dialogue.」 のようにです。そして特に音楽が欲しいときは、そう書いてください。Google は、これが最も見落とされやすい場合だと注意を促しています。「映像に音楽が欲しい場合、これはとりわけ重要です」。
設計時に織り込むべき制約が 2 つあります。音声の編集には対応しておらず、そして 「現在のバージョンの API では、音声リファレンスのアップロードに対応していません」。音は言葉で演出するか、まったく演出しないかのどちらかです。
タイムコードは効く。そして延長すると基準がずれる
タイミングに特別な構文は要りません。「厳密な構文は必要なく、自然言語を使えます」 とあり、「At 5s the chorus starts in the background audio」 は有効な指示です。角かっこを使ったタイムコードの形式もあります。
[0-3s] A person is walking
[3-6s] They stop and turn around
[6-10s] They start running
ここからが罠で、しかも本物の罠です。既存のクリップを延長するとき、0s はもう映像の先頭を意味しません。延長部分の先頭を意味します。Google はそれを明記しています。
「タイムスタンプやタイムコードの構文を使う場合、0s は映像の延長された部分の先頭を指します。10s の映像を延長する場合、この prompt にあるシーンの切り替わりは 12s の後に起こります」
ですから After 2s cut to a new scene は、完成した作品の 12 秒の位置に着地します。絶対的なタイムコードでショットリストを組む人は、これを一度だけ間違え、その後は二度と間違えません。
ついでに書いておくと、延長の prompt は、シーン全体を言い直すのではなく、継続する部分を記述すべきです。Google が示している形式は 「Extend this video」 や 「The scene continues」 ほどに短く、何かが変わるところにだけ追記します。音声なら 「The music continues into the chorus」、カットなら 「Show the same characters in the next scene」 です。延長は追記だけです。前に足したり、途中に差し込んだりはできません。

編集が求めるのは、多い言葉ではなく少ない言葉
ここまでのすべては、詳細さに報います。編集はそれを反転させます。「映像の編集には、単純な prompt が最もよく効きます。描写が過剰な prompt は、意図しない変更を招くことがあります」。
Google は自身の改善前と改善後の組を公開しており、これは 2 つの例としてではなく、ひとつのパターンとして読む価値があります。
Avoid: In the video of the man sitting on the sofa, please add a small
black cat that runs from the right side of the screen, jumps onto
his lap, and then he starts to stroke its head while looking down.
Simplify: Add a cat that jumps onto his lap, he begins to pet it.
Keep everything else the same.
Avoid: Please remove the cell phone that the person is holding in their
hand and fill in the background so it looks like they are just
holding their hand empty.
Simplify: Make the phone invisible. Keep everything else the same.
どちらでも働いている節は 「Keep everything else the same」 で、Google はショットのひとつの側面を編集するときには必ずこれを入れることを推奨しています。あなたが与える余分な細部はひとつひとつ、モデルが作り直すことを選ぶかもしれない対象になります。
image-to-video はまた逆向きに走ります。「'make it move' のような漠然とした prompt は、カメラの動き、被写体の動き、環境の効果を詳しく記述したものより、説得力の薄い結果になります」。生成には詳細を、編集には簡潔さを。
Google が実際に名指ししているカメラの語彙
Google は語彙の一覧を公開しており、これは prompt のコツを語るスレッドに出回っている用語より信頼できます。名指しされている動き。static、pan、tilt、dolly in と dolly out、truck left と truck right、pedestal up と pedestal down、zoom、crane、aerial または drone、handheld、whip pan、arc。角度。eye-level、low、high、bird's-eye、worm's-eye、Dutch、close-up と extreme close-up、medium、full、wide または establishing、over-the-shoulder、point-of-view。光学的な効果。wide-angle、telephoto、shallow depth of field と deep depth of field、lens flare、rack focus、fisheye、そして vertigo effect — ドリーズームです。
Google は zoom と dolly も明示的に区別しています。モデルがこの 2 つを混同するからです。zoom は焦点距離を変えるものであり、「これは dolly とは異なります。カメラ自体は動かないからです」。
ただし、Google が 2 度述べている但し書きも持ち歩いてください。「一部の高度なカメラアングルは公式にはサポートされていません。結果と信頼性は、prompt 全体と個々のユースケースによって変わることがあります」。動きを名指しすることは要求であって、保証ではありません。
ドキュメント化された動きのひとつである arc shot を、素直に prompt した例です。
Slow arc shot travelling left around a weathered brass sextant resting on
an unrolled nautical chart on a scuffed wooden table. Low winter sunlight
rakes in from the right and the brass catches moving highlights as the
camera travels. Single continuous shot, no scene cuts, shallow depth of
field. Sound design: faint harbour ambience, rigging tapping in wind.
No dialogue.
映画的な用語と編集の用語もドキュメント化されています。match cut、jump cut、establishing shot sequence、montage、split diopter effect です。Google に帰されているのを見かけたかもしれませんが、どちらのページにも載っていない用語もあります。oner、push in、そして natural smartphone zoom です。
ネガティブ prompt — Google の 2 つのページが食い違う
Omni にネガティブ prompt のパラメータはありません。API のドキュメントは率直です。「システム指示、temperature、top_p、停止シーケンス、そしてネガティブ prompt には対応していません (否定は通常の prompt に書けます。例: 'Do not do X')」。
そして Omni の prompt ガイドはまさにそれを推奨し、「No dialogue」、「No embellishments」、「No extra sound effects」 を挙げています。
Omni と Veo の共通ガイドは、言い回しについて逆のことを言っています。
「推奨しないもの。指示的な言い回しや、'no'、'don't' といった語を使うこと。たとえば 'no walls' や 'don't show walls' のような prompt は避けてください。推奨されるもの。見たくないものを記述すること。たとえば 'wall, frame' です」
これを解決したふりをするつもりはありません。最もありそうな説明は、2 つ目のページが Veo 専用の negativePrompt フィールド — Omni にはないもの — について書いており、一方 Omni のページは散文としての否定、つまり Omni が提供する唯一の手段について書いている、というものです。これは推論であり、Google が述べていることではありません。実務上は、Omni には Omni のページの言い回しを使い、否定が無視されているようであれば、モデルにはできないと決めつける前に、もう一方の形式を試してみてください。
もうひとつ正直な矛盾があります。クライアントに何を約束できるかに関わるからです。Omni の prompt ガイドは、モデルが画面上のテキストを 「正しく読みやすいかたちで」 描画すると言っています。DeepMind のモデルカードは、「完全に正確なテキストを描画すること」 を 「依然として課題として残っている」 ものの一覧に挙げています。どちらも Google です。約束する前に試してください。
実際に使えるチェックリスト
ここまでを踏まえると、モデルのふるまいを尊重した prompt は、たいてい次のものを備えています。
- ショット数の指示。複数ショットが既定であり、それはおそらくあなたの望むものではないからです
- 被写体とその動きを、具体的に。「make it move」ではなく
- Google の一覧から名指しした、ドキュメント化されたカメラの動きをひとつ
- 光。方向、質、色
- 音のための独立した文。セリフでなければ
Sound design:を前置して - セリフは
speaker says: lineの形で。コロンを使い、引用符は使わない - 否定は、短い散文の節として末尾に
- 編集のときだけ。上のほとんどを削ぎ落とし、「Keep everything else the same」を足す
Google 自身による構造の要約はもっと長く、被写体、動作、場面、カメラアングル、カメラの動き、レンズ、視覚的なスタイル、時間的な要素、音声、映画的な用語、否定と並びます。そして 「すべての prompt ですべての要素を使う必要はありません」 という安心材料が添えられています。
今日どこで動かすか
prompt を書くことは、繰り返し失敗することで身につく技能です。だからこそ、1 回の失敗あたりの価格が最も重要な数字になります。Veo 3.1 Fast での 4 秒のテストは 4 セントです。2026 年 8 月 28 日からここで使える Gemini Omni 1.1 Flash は 1 秒あたり 9 セントなので、同じテストは 36 セント、先に 360p で下書きすればおよそ 12 セントです。この 360p のティアこそ、まさにこのために 1.1 のリリースが加えたものです。カメラの指示がどこから守られなくなるのかを学ぶ午後のあいだ、その差が、あなたが何回間違えられるかを決めます。
ですから、移し替えのきく半分 — ショット数、カメラの語彙、音の演出、否定 — は安いところで訓練してください。どれも Google が両方のモデル向けに公開しているガイドから来ています。上の 2 つのクリップも、まさにそのやり方で作りました。Omni ファミリーへ上がるのは、それにしかできないものが必要になったときです。タグの構文、延長、そして参照による一貫性です。このガイドが最も紙幅を割いているフレームのタグについてひとつ補足すると、いまはそれ専用のエンドポイント start-end-frame-to-video があり、2 つのフレームをタグではなくフィールドとして受け取ります。image-to-video も、冒頭の静止画 1 枚について同じことをします。その道中でも Veo 3.1 Fast は image-to-video と最初と最後のフレームの練習をカバーします。価格は 2026 年 8 月 28 日時点のものです。
1.1 で何が出荷されたかと、リーダーボードが実際に何を語っているかについては別途書きました。仕事の種類からは text-to-video でご覧いただけますし、散文よりパラメータを差分で比べたい方は機械可読の仕様をお読みください。
価格と製品の条件は変わることがあります。購入の判断をする前に、各プロバイダーの現在の価格を確認してください。
よくある質問
Gemini Omni 1.1 Flash の prompt はどう書きますか?
まずショット数を明示してください。Omni は既定で複数のショットを作り、あなたが欲しいのはたいてい 1 つだからです。次に被写体とその動き、名指しした 1 つのカメラの動き、そして照明を記述します。音声は独立した文に置き、発話でなければ「Sound design:」を前置し、セリフは「speaker says: line」の形で、コロンを使い引用符は使わずに書きます。否定は短い節として末尾に足してください。
Gemini Omni の FIRST_FRAME タグとは何ですか?
渡した画像を冒頭のフレームとして使うよう Omni に伝えるインラインのタグで、タグに続けて説明を書きます。対になる LAST_FRAME は終わりのフレームを示し、Google のドキュメントによれば FIRST_FRAME と併用しなければなりません。両方のタグを同じ画像に向けると、ループするクリップになります。
Gemini Omni はネガティブ prompt に対応していますか?
パラメータとしては対応していません。Google の API ドキュメントは、ネガティブ prompt には対応していないと述べ、代わりに否定を通常の prompt に、たとえば「Do not do X」のように書くよう指示しています。Omni の prompt ガイドは「No dialogue」や「No extra sound effects」のような短い節を提案しています。Omni と Veo の共通ガイドはその言い回しを勧めておらず、これは Omni ではなく Veo の独立したネガティブ prompt のフィールドについて書いているように見えます。
頼んでいないシーンのカットを Gemini Omni が足すのはなぜですか?
複数のショットが既定だからです。Google のドキュメントは、そうしないように言われない限り、Omni はいくつかのショットからなる映像を作り、あなたの prompt から物語を組み立てようとする、と述べています。prompt に「In a single continuous shot」や「No scene cuts」を足すのが、ドキュメント化された対処です。
Omni の映像を延長するとき、タイムスタンプはどう働きますか?
基準がずれます。クリップを延長すると、0s は元の映像の先頭ではなく、延長部分の先頭を指すようになります。Google の例では、10 秒の映像を 2s の指示つきで延長すると、その瞬間は完成した作品の 12 秒の位置に置かれます。延長は追記だけです。前に内容を足したり、クリップの途中を編集したりはできません。
Gemini Omni ではセリフを引用符で囲むべきですか?
いいえ。Google がドキュメント化している形式は「speaker says: line」で、コロンを使い、引用符は使いません。引用符がリップシンクのモードを起動するという、広く繰り返されている主張は、Google のどのドキュメントにも出てきません。Google の例で引用符が出てくるのは画面上に描画されるべきテキストの場合だけで、おそらくそこが混同の始まりです。
Omni の prompt を練習するにはいくらかかりますか?
当社の API では、2026 年 8 月 28 日時点で Gemini Omni 1.1 Flash が 720p で 1 秒あたり $0.09 なので、4 秒のテストは $0.36、360p で下書きすればおよそ $0.12 です。Veo 3.1 Fast は 1 秒あたり $0.01 なので、同じテストが 4 セントになります。カメラ、ショット数、音声の技法は Google が両方のモデル向けに公開している prompt ガイドから来ているので、安いほうで練習すればコストは 9 分の 1 で、身につく習慣は同じです。